手紙の書き方研修講師が教える三つのポイント!(AERA2022年8月29日号より)
手紙の書き方研修講師が教える三つのポイント!(AERA2022年8月29日号より)

■上手下手は気にしない

 手紙を書くとなると、どうしても便箋(びんせん)と封筒を連想して自らハードルを上げてしまいがち。だが青木さんは、一筆箋やはがき、職場や家庭内であれば、付箋やメモ用紙に一言添えるだけでもいいという。さらに直筆の際の最大の悩みについてもアドバイスを送る。

「いざ書こうと思ったとき、多くの方が字が汚いことを気にされています。でも、大事なのは丁寧に書くこと。手紙は字の上手下手より、自分のために時間をかけてくれたことに心が動きます」

 文章量も、字の上手下手も気にしなくてOK。ようやくハードルが少し下がってきた。あとは書き方だ。メールなら、「お世話になっております」からはじめて、「引き続きよろしくお願いします」がテンプレ化しているが、さすがに手紙では違和感がある。いったい、何から書き出せばいいのだろうか。こんな疑問に、青木さんは挨拶(あいさつ)・本文・結びの3部構成で文章を考えるといいという。

「挨拶は『こんにちは』や『毎日、暑い日が続きますね』など、ふだんの挨拶で構いません。季節感のある挨拶や相手を気遣う言葉もいいでしょう。続く本文はいちばん伝えたいことですが、『なぜ手紙を書こうと思ったのか』を自分自身に問いかけると書きやすくなります。形式やマナーにとらわれすぎて、結局、何が言いたかったのかわからなくなってしまうことがあるので、素直に自分の思いを書きましょう。結びは先方への気遣いや感謝の言葉のほか、『またお会いできる日を楽しみにしています』など、未来につながる言葉や、相手との関係をどうしていきたいかを伝えるといいですね。ほかには『健康をお祈りしております』『穏やかな日々を過ごせますように』などお祈りの言葉も気持ちが伝わります。結びの一言があると、より手紙らしくなって、受け取った相手にも心地よい“読後感”が残ります」

 手書きから遠ざかっている今の時代。たまには誰かを思って筆をとるのもいいかもしれない。(ライター・奥田高大)

AERA 2022年8月29日号