平昌五輪銀メダリストの宇野昌磨と18歳の鍵山優真は今年2月の北京冬季五輪で飛躍を目指す。AERA 2022年1月17日号の記事を紹介する。
【写真】キリッとした表情。AERA表紙を飾った18歳の宇野昌磨
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北京冬季五輪最終選考会を兼ねた昨年12月の全日本選手権は、宇野昌磨(24)と鍵山優真(18)にとって新たな成長となる一戦だった。
宇野にハプニングが起きたのは会場入りの4日前。得意技である4回転フリップジャンプの練習中に右足首を捻挫(ねんざ)した。
「もし試合までに調整が間に合わなくても、けがも実力の一つだと考えて頑張ります」
平静を装っていたものの、ショートプログラム(SP)当日の練習では右足をかばっていた。特にけがの原因となった4回転フリップは右足を使って跳び、右足で着氷する。本番前、ステファン・ランビエル・コーチと相談した。
「正直、僕は(右足を使わずに跳ぶ)4回転サルコーにするか迷っていました。でも、ステファンが『サルコーでもフリップでも君は出来るよ』と言ってくれて、迷いが吹っ切れました」
「4回転5本はベース」
迎えたSP本番、冒頭の4回転フリップを見事に成功。冷静に4回転トーループも成功し、最後はガッツポーズ。101.88点の高得点にうなずいた。
「フリーでは、4回転5本の構成は変えずにいきます。試合ぎりぎりの時間まで、どうするべきか、貪欲(どんよく)に考えます」
フリーは難度の高い表現力を必要とされる名曲「ボレロ」だ。4回転5本のうち4本を成功させ、最後のステップは感情を爆発させて滑り切った。
「今日は頑張ったと思います。でも、4回転5本は挑戦なんかじゃなく、僕にとってのベース。ここから羽生(結弦)君や優真君のように、出来栄え点(GOE)でプラスがもらえるジャンプを跳びます」
総合295.82点で2位。2度目の五輪代表を決めた。
「今年はどんな時も、自然とスケートのことを考えるようになりました。でも、思い詰め過ぎて『頑張らなきゃいけない』というものにしたくない。『頑張りたい』でいたい。そこのコントロールを一番気をつけています。北京五輪は僕にとって、成長できる舞台にしたいです」