英国のテレビシリーズ「ダウントン・アビー」のマシュー役でブレーク、映画「美女と野獣」の野獣役にも抜擢されたダン・スティーブンス(39)。新作「アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド」では、“完璧すぎる”AIパートナーを演じた。
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1927年のドイツ映画、フリッツ・ラングの「メトロポリス」に始まり、スティーブン・スピルバーグの「A.I.」(2001年)やアレックス・ガーランドの「エクス・マキナ」(16年)など、AI(人工知能)をテーマにした名作映画は多い。これらに共通しているのは、観客に少なからぬ畏怖と懐疑の念を抱かせる点だろう。ところがドイツのマリア・シュラーダー監督の新作「アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド」は、見終わった後にっこりとした余韻を残す一風変わったロマンチックコメディーだ。
女性考古学者が研究費の確保のため、理想のパートナー像を鋳型にしたAIとの同棲実験に参加するという設定。家庭を持つことへの願望がある一方で、キャリアへの情熱に邁進している主人公のアルマ。全ドイツ女性の恋愛データを学習した見目麗しいAIパートナーのトムに、最初は躊躇するのだが……。
今作でトムに扮し、流暢なドイツ語を披露するのがダン・スティーブンスだ。英国の大人気ドラマ「ダウントン・アビー」シリーズでマシュー・クローリー役を演じて以来、世界中のファンを虜にしている。
──AIでありながら、人間らしい魅力も兼ね備えたトムをどう演じようと思いましたか?
「この映画では、AIがどのくらい人間的な面を持ち得るかということに焦点を当てている。コメディー的な笑いは、そこを生かして作り上げられている。主人公の心理を揺さぶるようなトムの行動から、笑いが生まれるんだ。そんなシーンを演じるのは面白かった。アルマ役を演じたマレン(・エッゲルト)にとっても、僕の演じるトムは、普通の映画の共演者とはずいぶん違っていたと思うよ。予想できる反応が返ってこない(笑)。逆にそれがコメディーとして映画を面白くしているんだ」