24日、衆院予算委員会で悩ましい顔を浮かべる岸田文雄首相
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 1月25日、全国の感染者数が6万人を突破し、未曽有の感染拡大が続いている。保育園では全国で327カ所(20日時点)が全面休園、病院でもクラスター発生する事態になっている。そんな中、24日に政府が各都道府県などに出した通知が「亡くなっても個人の自己責任しようとしている」「政府は責任を投げ出した」などと波紋を呼んでいる。現場で何が起こっているのか。

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「保健所がパンパンで、濃厚接触かどうかの判断はいつになるかわからないと言われました」

 こういうのは川崎市(神奈川県)に住む40代の男性会社員だ。子どもが通う保育園から22日に「コロナの感染者が出た」とメールで連絡が入った。「自分の息子は濃厚接触者ではないか」と心配になり、保育園にすぐに連絡を入れると、保育園の先生から冒頭の言葉を言われたという。

 翌23日には子どもが発熱。39度を超える高熱を出した。川崎市の相談窓口に連絡すると「かかりつけ医に相談してほしい」と言われ、かかりつけ医に相談すると「PCR検査はやっていない。近くの大学病院で診てもらってほしい」と対応された。そこで大学病院に電話したが、「濃厚接触者として確定していないなら、様子を見てほしい」と言われたという。

 その後、子どもの熱が下がり、一安心したが、保健所からの連絡はいまだに保育園に来ていない状況が続いている。男性はこう語る。

「自分も濃厚接触者かもしれず、在宅勤務で自宅に待機している状況です。無料のPCR検査も人が殺到していて受けれないですよね。ネットで抗原検査キットも購入しましたが、今週末に届くかどうか。保健所からの連絡がくるまでに10日間(濃厚接触者の自宅待機期間)を過ぎてしまいそうな感じ。中途半端な状況にどうしたらいいのかと悩ましいです」

 厚労省によると、全面休園している保育所が20日時点で327カ所。保育士が濃厚接触者となり、人員確保ができないようなケースも相次いでいる。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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厚労省の通知に現場から疑問の声が