普段の旅は行き当たりばったりです。「とりあえず西へ行ってみようか、ひとまず新幹線で名古屋まで」と決めて家を出て、新幹線の中で時刻表をめくりながら「関西線で大阪まで入るのはどうだろう」「いや、名古屋から北に抜けて高山線に乗ってみよう」というふうに考えます。行き先を考える時間も楽しいですね。それと最近では、仕事で出張した時に2日休みがあるからこっちの路線を通って帰ってこようとか、どこどこに寄って名物を食べてこようとか、そんな旅が多くなりました。これまで何度も鉄道の旅をしたけれど、それぞれに思い出があって、1番は決められないなあ。
「鉄道旅に興味はあるけれど、いきなりブラッと遠出は難しい」という人にお勧めしたいのは、普段乗っている列車でちょっと先まで行ってみること。同じ路線でも普段の生活圏から1駅離れるだけで、自分が思っているのとは違った景色が広がっているかもしれません。日常が日常ではなくなるというか、それも小さな旅です。
(構成/編集部・川口穣)
※AERA 2022年8月8日号