札幌市が2度目の冬季五輪の開催に意欲を示している。早ければ年内にも開催地が決まるとみられ、札幌が本命視されている。市は開催費用を抑えようと既存施設を改修して対応する。AERA 2022年2月7日号から。
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札幌市は、2030年冬季五輪・パラリンピックの招致を目指している。昨夏の東京五輪で開催経費の肥大化に批判が高まり、市は昨年11月に経費を最大で900億円削減すると発表した。それでも、若い世代を中心に「五輪招致で将来世代が負担を強いられないか心配」との声が上がる。
市が公表した大会概要案によると、五輪は30年2月8~24日の17日間で7競技109種目、パラリンピックは同3月8~17日の10日間で6競技80種目実施する。参加選手数はそれぞれ約2900人、約560人を想定している。
■施設改修で経費を圧縮
開催経費の総額は2800億~3千億円を見込む。当初は3100億~3700億円としていたが、なるべく新たな競技会場はつくらず、既存の施設を改修して実現する方針だ。
内訳は市など各施設の所有者が負担する「施設整備費」と、大会組織委員会が負担する「大会運営費」からなる。
開催経費の削減額の大半は、市などが負担する施設整備費だ。800億~1400億円としていた費用を最小限の800億円に圧縮。このうち市の負担分が459億円を占める。
競技会場は13カ所。そのうち11会場を既存施設を改修して対応する。老朽化の進む月寒体育館(豊平区)はカーリング会場として使うが、同時に札幌ドーム(同)周辺に移転して新施設をつくり、アイスホッケーの会場にする。新体育館の施設整備費は390億円。うち市の負担分は228億円だ。
スキーのジャンプ競技では、ラージヒルの大倉山ジャンプ競技場(中央区)に、ノーマルヒルのジャンプ台を併設して会場を集約する。運営費も効率化できるという。