――男であり女であり、同時にそのどちらでもないヘドウィグは「台本を読むたび見え方が変わる」。ミュージカルは初挑戦。課題は多いが、そのために「自分を騙(だま)している」と笑う。

丸山:あんまり考えすぎたら、弱い人間だから逃げ出したくなっちゃう。深刻にとらえすぎないよう、自分を騙し騙しフワッとさせてやってます。自分騙しはうまいんです。目の前のやるべきことだけを考える。夏休みの宿題と一緒で、初めはこんなぶ厚い宿題、絶対に終わらんわと思うけど、毎日やっとけばいつの間にか終わる。今までもそうしてきて大きな失敗はないので、まぁ大丈夫かなと。まだセリフも歌も「覚えましょう」の段階で、「深めましょう」までは辿り着いてないんですけどね。でも、表面だけ作り込んで「こういうふうに歌ったらヘドウィグっぽいでしょ」という感じにだけはならないように気をつけたい。「あ、ハリボテやな」と絶対、お客様に気づかれると思うので。

――まだ深めていないと言いつつ、ヘドウィグについて考え続けるうち、生じた変化がある。

丸山:今は関ジャニ∞のツアー中なんですけど、昨日泊まった旅館に置いてあった化粧水に「女性用」と書いてあったのにすごい違和感があって。別に男性でもつけるのにな、と。でも一方で、ヘドウィグはそんなこと気にも留めんやろ、という気もするんですよ。もっと超越しているというか。そんなことを考えていたら、自分の中で芽を出そうとしているヘドウィグが「バカね。グルグル考えて、可愛い」と笑ったんです。そういう瞬間は生まれつつありますね。

 あとね、今朝不思議な夢を見て。フラッシュバックの映像で、男や女、果ては人間でもない、見たこともないような生き物が、次々に僕の中にぶちゃ~っと入ってくる夢。「あ、生命の根源ってこういうことか。ってことは性別って……」と、ある種、この物語の“答え”に辿り着いたんです。でも、起きた瞬間に掴んだものがぼやっとなってしまって(笑)。ヘドウィグに向き合っていなかったら絶対に見ない不思議な夢だった。面白い体験をさせてもらってます。

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