一方の岸田政権のワクチン担当相は、堀内詔子衆院議員。義父は富士急グループの総帥で、岸田派前身の宏池会会長も務めた大物政治家だったが、本人の実力はゼロだ。
岸田総理は、自分よりも目立つ河野氏を活躍させて総裁候補に押し上げてしまった菅氏を反面教師として、実力者をワクチン担当にしなかったのだろう。その結果、ワクチン接種の加速化は今も見通しが立たない。
このように、岸田総理が菅前総理を反面教師としてきたことが、ワクチン接種については全て裏目に出ている。
ただし、ワクチン接種の遅れで社会経済機能が麻痺し、岸田内閣支持率が急落しても、第6波は夏前に収まり、補正予算などのバラマキ効果とリベンジ消費の効果で景気は一瞬回復するだろう。そこで参議院選挙となれば、自民党勝利は十分可能だ。
前任の菅氏がワクチン接種で予想外の前倒しに成功しながら、その成果が出るのが総裁選に間に合わず、政権を追われたのとは真逆。結果オーライである。
「菅さんは不運だったが、俺にはツキがある」
岸田総理の「涼しい顔」の裏にはそんな思い込みがあるのだろうか。
※週刊朝日 2022年2月18日号より