音柱・宇髄天元(画像は新宿駅地下・メトロプロムナードの大型広告より)
音柱・宇髄天元(画像は新宿駅地下・メトロプロムナードの大型広告より)

【※ネタバレ注意】以下の内容には、今後放映予定のアニメ、既刊のコミックスのネタバレが含まれます。

【写真】宇髄が「天才だ」と認める年下の“柱”はこちら

『鬼滅の刃』アニメ2期・遊郭編がいよいよ最終回を迎える。音柱・宇髄天元たちが相手にした「遊郭の鬼」は想像以上の強敵だった。2体いるとはいえ、遊郭の鬼は上弦の鬼の中では最も下位の「陸(ろく)」。それに苦戦を強いられた宇髄は「弱いのではないか?」と一部でささやかれたことがあった。しかし、アニメ10話を見れば明白であるが、宇髄天元は相当に強い。ここで改めて宇髄独自の「強さ」について考察する。

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■宇髄が“弱い”といわれた理由

 公式ファンブック『鬼滅の刃 鬼殺隊見聞録』(集英社)によると、宇髄は198センチ、95キロ。岩柱・悲鳴嶼行冥の220センチ、130キロに次ぐ恵まれた身体の持ち主だ。彼の大型の日輪刀は鎖でつながれており、遠心力を使って操ることもでき、相当の腕力が必要なのは一目瞭然だ。実際、妓夫太郎がその強さに驚嘆している。

 にもかかわらず、宇髄が一部からは“弱い”とされるのはなぜか。

 大きな要因のひとつは、前シリーズ「無限列車編」における炎柱・煉獄杏寿郎との比較だろう。煉獄は「下弦の壱」の撃破と「無限列車の乗客200人」を守りきることに成功し、「上弦の参」猗窩座を撤退させた。その印象が強いこともあり、遊郭にいる市民に犠牲者が出たことや、猗窩座に比べれば格下の「上弦の陸」に苦戦した宇髄の能力に疑問を持つ人がいたのだろう。また、後のシリーズでさらに格上の「上弦の鬼」と戦う柱たちの強さを知ったことで、相対的に「宇髄は弱かったのではないか」と思う人もいたかもしれない。

 しかし、アニメでより鮮明になった宇髄の戦いぶりをみれば、宇髄が決して“弱い”と言えないことがわかる。

■たやすく堕姫を斬る宇髄の剣技

「遊郭の鬼」は兄の妓夫太郎と妹の堕姫の2体で「上弦の陸」の地位にある。真の実力者は妓夫太郎なのだが、それでも堕姫の力は「下弦の壱」魘夢に見劣りしないくらい強い。堕姫は善逸を一撃で気絶させ、伊之助の追跡をかわすことができている。炭治郎の「水の呼吸」の技だけでは、堕姫に対処しきれていない。

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植朗子

植朗子

伝承文学研究者。神戸大学国際文化学研究推進インスティテュート学術研究員。1977年和歌山県生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科博士課程修了。博士(学術)。著書に『鬼滅夜話』(扶桑社)、『キャラクターたちの運命論』(平凡社新書)、共著に『はじまりが見える世界の神話』(創元社)など。

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観察眼に優れた宇髄の「ハッタリ」