鈴木浩介 [撮影/小山幸佑、ヘアメイク/奥山信次(barrel)、スタイリング/久修一郎(インピゲル)]
鈴木浩介 [撮影/小山幸佑、ヘアメイク/奥山信次(barrel)、スタイリング/久修一郎(インピゲル)]

「青年座に入って、憧れの西田さんにお会いすることもできたわけですが、そんなミーハー心で足を踏み入れた演劇の世界は、自分にとってものすごく居心地のいい場所でした。年齢も経歴もバラバラな、個性豊かな研究生たちと、タイツ姿で胸には名前の入ったゼッケンをつけてバレエの授業を受けたり(笑)。それなのに不思議と恥ずかしさは感じなかった。大学生活で会う仲間とはまったく違う意識を持った仲間たちと一緒に学ぶことは、すごく刺激的。日常が、圧倒的におもしろくなりました」

 大学は、結局7年半かかって卒業した。

「母からは『どんな職業に就いてもいいから、大学だけは出てほしい』と懇願されていました。息子に、なんとか大学だけは卒業させたいというのが母親としてどうしてもかなえたい夢だったみたいです。だから、2年休学してから復学して、全部で5年半在学しました。結局最後に、1単位だけ落としてしまって、日本の大学なのにアメリカの大学みたいに9月卒業になりましたけど(笑)」

>>【後編へ続く】「自分は変異種」 俳優・鈴木浩介が明かすコロナ禍の転機

(菊地陽子 構成/長沢明)

鈴木浩介(すずき・こうすけ)/1974年生まれ。福岡県出身。大学在学中の97年に劇団青年座に入団。2004年に退団し、その後は映画、ドラマ、バラエティー、舞台など幅広く活躍。ブレークのきっかけとなった「LIAR GAME」のほか、「ドクターX」「緊急取調室」などドラマシリーズで名バイプレーヤーぶりを発揮している。現在放送中のドラマ「ミステリと言う勿れ」では大学の准教授役。

週刊朝日  2022年3月4日号より抜粋

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