市川染五郎 [撮影/舞山秀一、ヘアメイク/AKANE、アートディレクション/福島源之助+FROG KING STUDIO]
市川染五郎 [撮影/舞山秀一、ヘアメイク/AKANE、アートディレクション/福島源之助+FROG KING STUDIO]

 初めて新作歌舞伎(2019年の「三谷かぶき月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと) 風雲児たち」)に出させていただいたときのことが重なりました。周りは経験がある年上の方しかいなかったので、ギャップを感じて心細かったです。

──父への尊敬の念という点での共感は?

 父(松本幸四郎)は、仕事のときも家にいるときもまったく一緒なんです。常にお芝居のことを考えている「お芝居人間」という感じで、もはやプライベートがないというか。趣味もあんまりないだろうし。

「これをしたら面白いだろうな」っていう妄想を実現させるのはすごいなと思います。自分の場合は、アイデアがあってもまだ想像の域から出ていない。でも父は、隈取(くまど)りの柄をデザインした「歌舞伎フェイスパック」を監修して商品化したり、アイススケートと歌舞伎でコラボしたり、ちゃんと形にしています。

◆まつげが長いとめんどくさい(笑)

──大河の撮影で、歌舞伎の経験が役に立った場面はありましたか?

 やっぱり小さいころから着物を着ているっていうのは大きかったと思います。でも、所作については知らないことだらけでした。歌舞伎とちがって、時代劇になると所作指導の先生がいるので、立ち座りだけでもすごく細かく指導していただきました。この大河での経験が歌舞伎にも生きてくるだろうなと感じます。

──今回の義高役ふくめ、ビジュアルがいつも「美しい」と反響を呼びます。

 不思議です、本当に。自分に自信がないから、ビジュアルも好きじゃないですし、何が美しいんだろうっていう感じで。パーツとして、たとえばまつげが長いっていうのは自分でも思います。でも白塗りの化粧がまつげについていちいちめんどくさいので、嫌です(笑)。

──歌舞伎俳優としての夢や目標は?

 自分なんかはまだまだいろんな経験をして学んでいかなきゃいけない時期なので、まずは基本的な型を体に染み込ませることが大事だなと思います。

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