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――今回の「陰陽師」をはじめ、なぜか和の作品が続くと自己分析する。

三宅:小さい頃から時代劇は好きです。祖父がよく時代劇を観ていたりして、すごく身近にあったものでした。日本の文化も好きなので、お仕事をいただけることはとてもうれしいです。でも、「藪原検校(やぶはらけんぎょう)」も「羅生門」もドラマの「黒鳥の湖」も今回の「陰陽師」も、和ものというだけでなく、すべて“因果応報”というテーマがあるんです。そんな作品が続く意味は何だろう?と考えてみたんですが、理由はわからなかったですね(笑)。

 悪いことをすれば必ずその人に悪いことが戻ってくるし、良いことをすれば良いことが戻ってくる。それは自然なことだと思います。「陰陽師」の場合、物に宿る念みたいなものが強く感じられるのですが、僕たちも日常生活の中で知らず知らずのうちに誰かに物を借りっぱなしな状況だったりすると、因果応報ということもあるかもしれないと感じます。

■作品を通して戦友に

三宅:僕は物が好きで結構こだわりがあります。今は特に家具にこだわっています。昔は家具にも人の想いが宿るのであまり家に置くのが好きではなかったのですが、ピエール・ジャンヌレとジャン・プルーヴェの家具のデザインに強く惹かれて、それまでの気持ちが覆されて家に迎えることにしました。

――テレビや映画でも活躍するが、舞台作品にはどんな思い入れがあるのだろうか。

三宅:映像作品は撮影日までにいろいろなことを構築して瞬発力を持って臨みます。一方、舞台は稽古が1カ月から1カ月半くらいあって、公演によっては3カ月くらいの上演期間があったりします。一つの役をそれぞれの役者同士がそれだけの期間生きているということは、その作品を通して戦友になったような感覚になります。だから、舞台をやると千秋楽に、もう読むことはないであろう台本や、再演がない限りはその役としては会わない役者さんに対して、すごく寂しさや儚さを感じます。思い入れもどんどん強くなります。

 初日の幕が開いて、千秋楽までさまざまなことが変化し続けていく。役者だけでなく、演出家や関わっているスタッフの方たちが、本番に入ってからも新たな気づきを得てどんどん進化していく。そこが舞台の醍醐味だと思います。舞台通の人は初日と中日と楽日を観て、前回とどう変化しているかを観て楽しんだりすると聞きます。期間中は役を演じているというよりは、“生きている”という感覚なのだと思っています。

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