※写真はイメージです (GettyImages)
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 昨年12月に公開された与党の「令和4年度税制改正大綱」では相続税と贈与税の見直しに関する具体策は示されず、議論は先送りされた格好になっている。

 議論の行方や今後の相続対策について、タクトコンサルティング情報企画部部長で、税理士の山崎信義さんに聞いた。

 予想される改正案は大きく二つあるという。一つは現行制度で2種類ある贈与税の課税方法(【1】暦年課税制度と【2】相続時精算課税制度)を、【2】に一本化する案だ。

 【1】が贈与税の非課税枠(年間110万円)を活用した“毎年コツコツ贈与”とすれば、【2】は2500万円までの生前贈与を非課税とし相続発生時に相続税の計算に取り込む“まとめて贈与”。

 【1】の廃止が議論される背景には、富裕層が、こうした制度を利用して本来よりも低い税率で財産の移転を行うことを不公平とする考え方がある。

 もう一つは、相続発生前の一定期間に贈与された財産を相続税の課税対象とする、いわゆる「持ち戻し」の期間を拡大するものだ。現行の3年という持ち戻しの期間は、欧米諸国に比べてかなり短い。

「こうした改正論議が本格化するのは、恐らく今夏の参議院議員選挙後。ただ、仮に年末に発表される令和5年度税制改正大綱に盛り込まれたとしても、すぐに実施とはならず、1~2年の猶予期間が置かれることになる」(山崎さん)

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