カンボジアのアンコールワット。1日入場券で2日間、3日入場券で5日間見学ができるキャンペーンをはじめた
カンボジアのアンコールワット。1日入場券で2日間、3日入場券で5日間見学ができるキャンペーンをはじめた
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「おや?」と思って立ち止まる。そしてはじまる旅の迷路――。バックパッカーの神様とも呼ばれる、旅行作家・下川裕治氏が、世界を歩き、食べ、見て、乗って悩む謎解き連載「旅をせんとや生まれけむ」。今回は、観光渡航が再開したアジア各国の入国条件について。

【実際の写真】先頭はずっと先…タイのワクチン接種会場のある時の様子

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 2月末からカンボジアとタイに行くことになった。欧米が入国規制を緩和するなか、アジア各国は厳しい水際対策を維持していた。しかし昨年後半から緩和に傾く国が出てきた。タイにつづき、カンボジアとフィリピンへの観光渡航が可能になった。

 タイは2月からタイランドパスを再開した。これはワクチン接種証明、保険、タイでのPCR検査の際に滞在するホテルのバウチャーなどを添付し、ネットで申請するスタイルだ。昨年も運用されていたが、オミクロン株で一時中断していた。再開されたが、内容が少し変わった。以前はタイでのPCR検査は1回だったが、1日目と5日目と2回になった。

 昨年11月にも申請している。そのときは許可が出るまで5日ほどかかった。しかし今回申請すると、翌日には許可が届いた。カンボジアからタイまでは、エアアジアというLCCを予約した。コロナ禍でLCCも多くの路線が運休に追い込まれた。ようやく再開の空気が伝ってくる。

 カンボジアは以前、空港や国境でビザをとることができた。しかしコロナ禍でこのビザを停止。大使館でビザをとることを条件に観光渡航に門を開いた。大使館でのビザには、スケジュール、保険、2000ドルの預貯金証明かワクチン接種証明が必要だった。

 フィリピンの入国条件も似ている。ワクチンの接種証明、そして保険。

 どの国も入国前に日本でPCR検査を受け、陰性証明を持参することを条件にしている。

 渡航する人が増えるなか、各国の入国条件を巡って波風がたってきている。Tさん(45)は、昨年タイに行き、今回カンボジアのビザをとった。

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問題は保険です