会社のキャラクターはミツバチの「Hatty(ハッティー)」。蜂の巣のハニカム構造のように、強靱なプロダクトに育てたいとの思いを込めた(撮影/写真部・松永卓也)
会社のキャラクターはミツバチの「Hatty(ハッティー)」。蜂の巣のハニカム構造のように、強靱なプロダクトに育てたいとの思いを込めた(撮影/写真部・松永卓也)

 短期集中連載「起業は巡る」。第3シーズンに登場するのは、新たな技術で日本の改革を目指す若者たち。第3回は、ソフトウェアのテストを自動化させた「オーティファイ」CEO・共同創業者の近澤良氏だ。AERA 2022年3月7日号の記事の2回目。

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 さて、シリコンバレーでは同世代のエンジニアが立ち上げた会社がどんどん大きくなっていく。どうやってお金を集め、顧客を開拓しているのか。調べてみると多くのスタートアップが「アクセラレーター」と呼ばれる養成学校を使っていた。

■起業家の“M1”に出場

 この学校にはスタートアップ運営のノウハウを持つメンターがいて、起業家の卵と一緒にアイデアの原石をビジネスモデルに磨き上げ、事業方針についての専門的なアドバイスをする。大事なのは「デモ・デー」と呼ばれる卒業式だ。著名投資家やベンチャー投資会社の担当者が集まり、お眼鏡にかなえば億円単位の資金調達が可能になり、起業家として世に出るチャンスが与えられる。シリコンバレーの漫才「M-1グランプリ」だ。

 また、学校には米国の新旧大企業や投資ファンドが出資し、見込みがある起業家には資金を提供する。米国にはそんなアクセラレーターが160以上あった。近澤たちが選んだのは「B to B(法人向けの製品・サービス)」のスタートアップを育てることで有名なアルケミスト・アクセラレーター。セールスフォース・ドットコムやシスコ、ゼネラル・エレクトリック(GE)が出資していた。

 18年8月、近澤と山下のチームは100社中数社しか通らない厳しい審査をくぐり抜け、アルケミストに「入学」した。日本人チームの第1号だった。与えられたのは約600万円の開発資金と24週間の時間。それで「デモ・デー」までに投資家に認められるプロダクトを作らなくてはならない。近澤のメンターは何度も繰り返した。

「リョウ、それは本当にペインキラーか。ビタミンはいらないぞ。大切なのは顧客のバーニングニーズを見つけることだ」

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