「陽性者に対する致死率の割合を、全国で見ていただきたい。大阪は真ん中くらい。陽性者においてお亡くなりになる率が群を抜いて高いという状況ではない」
吉村知事のいう“致死率”は、「人口」ではなく「陽性者」に占める死亡者の割合(死亡者数/新規陽性者数)ということだ。この割合を見ると、確かに大阪の数字は低くなる。政府関係者から入手した資料によると、第6波での全国平均は0・09%、最も高いのが高知で0・31%。次に宮崎0・25%、愛媛0・24%、広島0・23%と続く。大阪は0・1%で全国で27番目に多く、確かに「真ん中」に位置する。
しかし、東京は0・03%とさらに低く、全国でも43番目だ。東京と比較すると、やはり大阪の死亡率の高さが目についてしまう。井戸川准教授はこう説明する。
「人口あたりの死者数が事実として多いことを受け止めるべき。陽性者に占める死亡者の割合が全国で真ん中というのは、医療体制が全国でも平均程度に整えられていうということを表しているにすぎません。大阪のような主要都市で、医療水準が高い自治体で、平均的というのは十分ではない。また、感染者を減らす対策が有効に取れていれば、死者数は抑えられたと見ています」
その他に人口あたりの死亡者数の上位を見ると、愛知20・6人、福岡18・9人、奈良15・9人、千葉15・4人などとなっている。どのような実態があるのか。愛知県の担当者はこう語る。
「医療が必要な人には治療ができているが、コロナに感染した高齢者が多く亡くなっている。コロナが原因で肺炎で亡くなるのではなく、持病のためにコロナがきっかけで亡くなる人が多いです。治療で重症化を抑制することのほか、ワクチンで感染を予防することがより問われています」
意外に高いのは、高知の死亡者数だ。東京よりも0・3ポイント多い14・5人だった。他の四国3県を見ても、香川10・5人、愛媛4・5人、徳島1・4人となっており、高知が明らかに高いのが見て取れる。なぜか。