「コンビニ百里の道をゆく」は、52歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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プロ野球のオープン戦が始まり、開幕が待ち遠しい季節になりましたね。今年は何といっても、日本ハムの新庄剛志監督に注目しています。
新庄さんと言えば派手なパフォーマンスです。阪神タイガースの選手時代は赤いリストバンドで華麗な外野守備。大リーグのメッツ時代はキャンプ地に真っ白なリムジンのハイヤーで登場。派手な演出が注目されますが、私の中で新庄さんへの見方が大きく変わった出来事がありました。
2002年から05年まで、私は米国のインディアナ州に駐在していたのですが、ちょうどその頃、インディアナポリスを本拠地とする3Aのチームとの試合に、大リーグのメッツから調子を落としていた新庄さんが来ていたんです。そのときの新庄選手を見て驚きました。思えば当たり前なのですが、すごく一生懸命にまじめに、真摯にプレーに打ち込まれていた。
そりゃそうだよな、と。パフォーマンスだけでレギュラーを取れるような甘い世界ではない。人知れず行う途方もなく厳しい練習やトレーニング。それがあってこそのあのパフォーマンスなんだと気がつき、以来、新庄さんをよりリスペクトするようになりました。
日本ハムの監督に就任してからも、一挙手一投足が注目されています。将来を期待される清宮幸太郎選手に「ちょっとデブじゃねぇ? ヤセない?」と指導するシーンも話題になりました。でもあれも「盛り上げる」ためのパフォーマンスなのかも。見えないところで新庄さんがどんな努力をし、どう選手やコーチに接し、ストイックに監督業に取り組んでいるか、すごく興味があります。
きっと監督としても、相当に勉強をして、構想も練り、これまでとは違う「新しいプロ野球」に挑戦する準備は万端のはずです。新庄監督! とても楽しみにしています!
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2022年3月14日号