
では実際に異常が見つかり、要精密検査や手術が検討される場合には、どのように病院を選んで、紹介しているのだろうか。砂村医師の場合はこうだ。
「テレビやインターネットによく出ている医師を紹介してほしいという患者さんもいて、もちろん紹介状を書くことは可能ですが、私はあまりおすすめしていません。疾患ごとに診断・治療で信頼のおける病院を把握しているので、そこに紹介するようにしています」
それが可能なのは、紹介先の医師と日頃から情報交換をしているからだ。医師のキャラクターや診療科の雰囲気を把握し、学会などでの取り組みや発言、論文などもチェックしているという。開業医と病院の間に信頼関係ができていると、融通もききやすくなるのだとか。
■治療についての考え方に共感できるか否かが重要
反対に、自身の出身大学や医局、系列病院ばかりを紹介する開業医には注意したい。その地域の医学部や医局が地元に強い影響力を持っていると、周辺の開業医はそこの出身者ばかり、ということもある。
「どんな疾患であっても、自分に縁がある病院にしか紹介しないようでは、いい開業医とはいえないでしょう。同じネットワークのなかに閉じこもっていると、切磋琢磨がなくなってしまいます」(砂村医師)
紹介された病院が自分にとっていい病院なのか判断する際、または本誌のような媒体から病院を選ぶ際には、次のような点に目を向けるとよいという。
「症例数は、ある程度のボリュームがあることが前提になります。そのうえで、手術を担当する外科医の哲学や病院の考え方についても、注目してみてください。同じ疾患の治療でも、外科医や病院によって考え方が異なります。違いがあるのは悪いことではなく、患者さん自身がそれに共感できるかが重要なのです」(同)
■疑問や不安がある場合はセカンドオピニオンを求めよう
これは、クリニック選びでも病院選びでもいえることだが、疑問や不安がある場合にセカンドオピニオンを求めるのは、患者の当然の権利だ。
「快く応じてくれるのがいい医師です。そうでない場合は、ほかをあたりましょう」(同)
砂村医師のクリニックでは「癌よろず相談所」を開設し、広く患者の相談に応えている。同様に、垣根を越えて相談しやすい環境を整えているクリニックや病院が増えてきているので、活用してほしい。
(文/伊波達也)