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週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から得た回答結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。また、実際の患者を想定し、その患者がたどる治療選択について、専門の医師に取材してどのような基準で判断をしていくのか解説記事を掲載している。ここでは「肺がん手術」の解説を紹介する。
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肺がんは男性に多いがんだ。10万人あたりで女性は62.8人罹患するのに対し、男性は133.3人罹患する。男性の部位別がん死亡数(2019年)を比べると、肺がんは5万3338人と、胃がん、大腸がんなどと同程度で、全がんのなかで4番目に多い。
肺がんは細胞の大きさや形など組織の違いから「小細胞がん」と「非小細胞がん」に大きく分かれる。
小細胞がんには、非小細胞がんに比べ増殖が早い、転移しやすいなどの特徴がある。手術がおこなわれるのはごく早期だけで、薬物療法や放射線治療が治療の中心となる。
肺がんの多くを占めるのは非小細胞がんだ。これはさまざまな種類に分類される。主なものは、腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんで、最も多いのが腺がんである。腺がんは、喫煙しない人や女性にもよく見られる。
■呼吸機能などにより切除範囲を決める
ここでは非小細胞がんを取り上げる。非小細胞がんの手術はI~II期とIII期の一部におこなわれる。手術に放射線治療、薬物療法などを組み合わせることもある。
近年は、精度の高いCT検査によって、早期の小さながんやがんとはまだ言い切れない状態の影(すりガラス陰影)が見つかるようになった。早期の小さながんに対しては、切除範囲を小範囲にとどめる縮小手術がおこなわれることもある。
手術で重要なのは、がんをしっかりと取りきることと、できるだけ肺を残し呼吸機能を温存することだ。肺は左右に分かれ、右側は三つの、左側は二つの「肺葉」に分かれる。肺葉はさらにいくつかの「区域」に分かれる。そのうち、どの範囲を切除するかを、呼吸機能などを考慮して検討する。