ロシアによるウクライナ侵攻で日経平均は急落した
ロシアによるウクライナ侵攻で日経平均は急落した

D:私は外資系証券の日本株のセールストレーダー(機関投資家からの売買注文を執行するトレーダー)ですが、ヒマしてます……。ウクライナ侵攻をきっかけに、日本市場に対する海外機関投資家の関心が薄れたためです。昨年後半から外国人は4カ月連続で日本株を売り越していますが、売りも買いも細っています。

C:私なんか、日本株がメインなのでやられっぱなしです。米国株も保有していますが、米国株が2%下げたら日経平均が5%下がるということが多々あって、ジワジワ含み損が増えている。

B:レポートには書きにくいんですけど、現状、日本株を買える材料がまったくない。理由の一つは、日本企業の判断の遅さです。ユニクロを展開するファーストリテイリングがその典型例でしたね。当初は「衣服は生活の必需品。ロシアの人々も同様に生活する権利がある」(3月7日付「日本経済新聞」)と柳井正会長はロシア事業を継続すると表明してたけど、不買運動を呼びかける人が現れるほどバッシングを浴びて、あっという間に全店営業停止へと方向転換を迫られることになった。

D:機関投資家の声に耳を傾けていたら、絶対に事業継続を堂々と表明できなかったはず。海外の機関投資家は日本株の注文はくれませんが、連絡を取るたびにロシアに対する怒りを爆発させています。侵略国家に与(くみ)するような事業を展開する企業も許せない!とばかりに。だから欧米のグローバル企業はいち早くロシア事業から撤退した。

A:ロシア主要7行のSWIFT排除よりも早く、欧米企業のロシア撤退が進みましたね。ロシアのウクライナ侵攻は時間の問題だと思っていたので驚かなかったけど、あっさり企業が脱ロシアを進めたのは私にとってサプライズでした。記憶する限り、最初に撤退を表明したのは英石油大手のBPだったはずで、BPは保有するロシアの石油大手ロスネフチの株売却で最大250億ドルもの減損処理を行うと発表しています。でも、2年分の利益が吹き飛ぶほどの巨額減損処理なのに、株価は4%ほどしか下げなかった。ESG投資(財務内容だけでなく、環境配慮や社会的責任、ガバナンス要素も考慮した投資)が浸透して、どれだけ企業が社会的責任をまっとうしているかという点も重要な投資指標になった。その影響で英断を下したBPを評価する投資家が増えたんだと考えています。

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