投資家の評価が高くない「新しい資本主義」を掲げる岸田首相
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 3月上旬、日経平均株価は1年4カ月ぶりに2万5千円を割った。その後は一気に2万6500円台を回復するなど、波乱の展開だ。ウクライナ侵攻で世界経済の先行き不透明感が高まるなか、日本株はどうなるのか? 国内証券プロップトレーダー・A氏、国内運用会社アナリスト・B氏、サラリーマン投資家・C氏、外資系証券セールストレーダー・D氏に聞いた。

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(週刊朝日2022年4月1日号より)
(週刊朝日2022年4月1日号より)

──2月24日にロシアがウクライナに侵攻して以降、原油・天然ガス価格が急騰するなどマーケットが荒れています。

A:私は株、為替、債券、オプションまで扱うプロップ(自己勘定取引部門)ですが、調べ物が増えましたね。ロシアの銀行がSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除されたら、どんな影響があるか?などといったものです。プロップでは直接、ロシアの債券や株に投資してなくても、会社が扱っている投信がロシア株を組み込んでいたり、デリバティブ部門のカウンターパーティー(相手先の金融機関)がロシアの銀行と取引があったりするので、SWIFT排除によって、どれだけの損失リスクが発生する可能性があるかを分析するのに時間をとられました。

B:私はアナリストなのでマーケット分析のレポートを書くのが主な仕事ですが、情勢がコロコロ変わるので、夜寝れなくなりましたね。夜中までニュースを見てないと落ち着かなくて……。

C:レポートを書かないといけない方は、戦争が絡むと非常に気疲れするようですね。私は個人投資家なので、著名なトレーダーが買い推奨銘柄をこっそり教えてくれる有料メルマガをいくつも購読していますが、なかには「戦争をネタに稼ぐのは心苦しいので、しばらく買い推奨の配信を自粛します」という人もいた。

B:間違っても「今が買いのチャンス」なんて表現は、レポートに盛り込めませんね。「銃声が鳴ったら買え」という相場格言もあるけど、そんなことを書いたら会社に所属するアナリストとしてはコンプライアンスに引っかかる。

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