イラスト/ウノ・カマキリ
イラスト/ウノ・カマキリ

 さらに東京新聞は<ロシアによるウクライナの原発に対する攻撃が世界を震撼させる中、とてつもなく危険で、お金がかかる原発という施設のやっかいさ、原発を持つことの恐ろしさについて、あらためて考えずにはいられません>と強調した。

 ところで、岸田文雄内閣では、昨年秋、2030年の日本のエネルギー基本計画を閣議決定した。

 実は、15年12月に、世界の先進国の代表が集まって、パリ協定なるものが定められた。地球の平均気温が2100年までに3度以上高くなるとされていて、気温上昇を産業革命前に比べて1.5度までに抑えておこうというのである。

 そこで欧州の先進国はいずれも、2050年までに温室効果ガス排出ゼロを打ち出したが、当初、米国と日本はこれに同調しなかった。

 だが、トランプ大統領からバイデン大統領になって、米国はパリ協定に同調した。日本の菅義偉首相(当時)も合わせるようにして50年温室効果ガスゼロを打ち出している。

 岸田内閣では、再生可能エネルギー36~38%、原発は約30基の稼働が必要な数値を発表しているのだが、政府の幹部たちは、原発30基が実現すると本気で考えているのだろうか。

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

週刊朝日  2022年4月1日号

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