だが、「反省」だけではすまないと指摘するのは、現在は金沢工業大学大学院教授・海上自衛隊元海将・伊藤俊幸氏だ。

「私は食事や給料などの面倒をみる部隊の厚生部門も統括する組織の長だったことがあります。同じ部隊にいてそのカレーがうまいとなれば、事務官も食べてみたくなるでしょう。私は半年に1回とか、自分の職務権限で試食会を開いたりしていました。処分された事務官は、2年間の長期間、検食と称して無断で食べており、おそらく内部告発で処分になったのでしょう。調理員などまわりの自衛官も気づいていたでしょうが、事務官は海曹よりも階級が上のため、注意できなかったのでしょう。カレーを食べて停職処分というのは一般的に重いと感じられる人もいるでしょうが、事務官は『幹部自衛官相当として扱われますから、自衛隊という重責を担う立場としては当然でしょう。カレーで自衛隊人生、かなりマイナスになります。しばらくは定期昇給、昇進は認められない上、希望の異動や退職金、年金にまで響きかねないでしょう」

「戒告」「訓戒」については3年で消えるという。しかし「減給」「停職」「降任」などの処分は、自衛隊に籍を置く限り一生、ついてまわる。4人には「タダ飯」で厳しい未来が待ち受けているようだ。

(AERA dot.編集部 今西憲之)

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今西憲之

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大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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