ウクライナ東部からリビウに避難してきた1歳の男の子
ウクライナ東部からリビウに避難してきた1歳の男の子

「ポーランドに逃げた女子学生は、今、ポーランドの日本大使館でビザを申請し、待っています。ポーランド経由でドイツに逃げた女子学生もいます。今、ドイツから日本に来たいと言っている」

 認定NPO法人難民支援協会広報部の伏見和子氏は次のように説明する。

「単に現地で『留学生ビザください』と言ってももらえるわけではないので。日本の大学や日本語学校がウクライナの方を留学生として受け入れるという、学校とウクライナをつなぐような支援プロジェクトを始めているところもあります」

 実際に日本のいくつかの大学で受け入れが始まっている。ただし、入管の手続きや審査が緩和されているわけでないので、

「留学のためのビザが出るためには在留資格認定書という入管手続きが必要になってきますので、そこの部分については通常通りのままです」(出入国在留管理庁出入国管理課担当者)

 このように、日本への避難民の325人という数字には様々な意味があるようだ。325人に留まっている背景には、冒頭の女性の両親のように、祖国を離れて遠い国で生活することが人生の選択肢として考えられない人もいることも確かだ。

 一方、留学ビザで入国したり、「特別活動」という在留資格を得たりしても、実態が他国に庇護を求めた「難民」であっても、すぐに国が定めた“難民”となるわけではない。

「短期滞在なり、ほかの在留資格なり、なにがしかの査証を取って日本に来てから難民認定申請ということになります。そのうえで、審査をして認定か不認定かという判断になります。審査は適切に行なっています」(同前)

 前出のNPO法人難民支援協会の伏見氏は、これまでの難民申請の状況をこう語る。

「ウクライナに限らず、難民申請の件数は近年ですと、年間1万人ほど。それがコロナ禍で2020年は約4千人に減りましたが、それでもかなりの人数が難民認定を求めて日本政府に申請しているんです」

 日本の場合は難民認定の審査が非常に厳しい。

「年間数10人という単位でしか、難民認定されていないんですね。しかも、難民申請をして結果が出るまでに平均で4年以上かかっています。多くの方は3カ月や半年ごとに更新をしながら難民申請の結果が出るのを待っていらっしゃる。在留資格がない方もいます」

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