試合中にベンチで選手に説教していた監督が、反抗的な態度にぶち切れ、ベンチ裏まで追いかけていく一部始終が放映されたのが、13年5月24日の中日vs日本ハムだ。

 騒動の原因となったのは、7回の中日の守り。2死二塁で稲葉篤紀に中前安打されたあと、センター・大島洋平の返球がスリーバウンドとなり、同点のホームを許したプレーだった。ファーストのクラークが中継を怠ったため、大島はダイレクト返球せざるを得なかったのだ。

 にもかかわらず、高木守道監督は「(ファーストが入らないのなら)ショートがカットすれば間に合った」と、ベンチに戻って来た井端弘和を一方的に責めた。当然井端は納得できず、「まずファーストを怒るべきでしょ」と不満をあらわにしてベンチを出て行った。

 すると、高木監督は「何だ、その態度は!」と“瞬間湯沸かし器”の異名よろしく壁を蹴り上げると、憤怒の形相で井端を追いかけていくではないか。

「おい、どうするよ」と他のナインも動揺し、2人が消えたベンチ裏のほうを見やりながらヒソヒソ。間もなく捕手の小田幸平ら数人が慌てて止めに行くシーンが映し出された。

 試合後も高木監督は「指摘をしただけのことや。(トラブルを誘発)そんなことは言いません」と不機嫌そのものだったが、井端が謝りに行くと、「オレなんか試合途中に帰ったこともあるんだから、いちいち気にするな」と気遣ってくれたという。

 いい意味で熱しやすく冷めやすい人情味あふれる指揮官だったことが窺える。

 劇的なサヨナラ勝ちの直後、歓喜の輪が一転怒気をはらんだものに変わってしまう珍場面が見られたのが、10年5月24日の阪神vsロッテだ。

 4対4の9回裏、阪神は1死満塁で、城島健司が薮田安彦の低め直球をすくい上げ、飛距離十分の中飛を打ち上げた。三塁走者・マートンがタッチアップして本塁に滑り込み、5対4のサヨナラ勝ち。ヒーローの城島を中心に本塁付近で歓喜の輪ができた。

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スタンドの虎党も苦笑いの“内輪もめ”