15年ほど前、筆者は宮崎さんから、「警察のおかしな捜査を暴くぞ」とせき立てられ、タイのチェンマイまで一緒にいくはめに。
普段は一滴も酒が飲めず、コーヒーと有名ホテルの黒豆ココアが好物だった宮崎さん。飛行機では有名なシャンパンが出ると聞き、珍しく注文。グラスを手にし、ほんのひとくちだけ含むと、こんなことを話した。
「飛行機に一生乗れない底辺で生活している人がわんさかいる。ヤクザも右翼も底辺からはい上がろうとして、気がつくとそういう境遇で生きていくしかなかった連中や。権力がそういう連中をはじき出そう、捕まえようとするばかり。誰かがそのおかれた状況、思いを代弁してやらないとあかん」
宮崎さんはそう言うと、口をつけたグラスを私に差し出し、
「ワシ、もうええわ、飲め、飲め」。
暴力団の杯じゃないんだからと、ちょうだいしたことも今となってはいい思い出だ。
大谷さんは名残惜しみ、
「グリコ森永事件、本当にやったのなら俺だけには教えてくれ、と頼んでいたんだ。肝心なことは語らずに旅立ってしまったな……」
と話した。
ご冥福をお祈りするばかりだ――合掌。
(AERAdot.編集部 今西憲之)