ロシアとウクライナによるSNSを駆使した激しい情報戦が繰り広げられている。国際社会を味方につけ、優位に立つのはウクライナ側だ。その指揮を執るのは31歳の最年少閣僚だという。いったい何者なのか。AERA 2022年4月11日号の記事から紹介。
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SNSを中心とした情報戦では、ウクライナがロシアを圧倒している。その前線で指揮を執るのが、ウクライナの最年少閣僚、ミハイロ・フェドロフ副首相(31)だ。2月24日にウクライナ侵攻が始まり、3日後にはメッセージングサービス「テレグラム」で志願制のIT軍「IT ARMY of Ukraine」というチャンネルを開設。世界から、30万人以上が参加している。
チャンネルでは、サーバーへ一斉に負荷をかける「DDoS攻撃」の対象としてロシア政府やロシア企業のウェブサイトを掲載。攻撃を促している。さらに、フェドロフ氏は自身のツイッターでネット回線をサポートするようにイーロン・マスク氏に呼びかけたり、各国の企業に協力を依頼したり。31歳の若さで国を背負う姿に「ウクライナのオードリー・タン」と呼ぶ声も。いったい何者なのか。
「もともとゼレンスキーの友人で、彼が俳優だった頃に立ち上げたプロダクションのアドバイザーをしていました。大統領選の際にはSNS発信も引き受けています」
そう説明するのは、国際情勢アナリストの山田敏弘さんだ。かつて、フェドロフ氏はSNS関連の会社を起業していたという。
「デジタルネイティブと言える世代です。外国とも対等にやり合い、世界の世論を味方につけていく。みんなに見せることによって、相手が拒否できなくなることも織り込み済みです」(山田さん)
ツイート一つで世論を味方につけたならば、その逆も起こりうる。だが、それに臆さない度胸こそが、フェドロフ氏の強みだという。
※AERA 2022年4月11日号