幅広い年代が悩む眼精疲労。目の病気や目の使いすぎまで、さまざまな原因により起こる。今回はこうした中から、眼精疲労の主な原因となる屈折異常とドライアイを中心に、その対策と治療法を紹介する。
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眼精疲労とは目を休めても、睡眠をとっても回復しにくい目の疲れのことを言う。悪化すると頭痛や肩こり、吐き気などの自律神経症状もあらわれる。梶田眼科院長の梶田雅義医師は言う。
「自律神経症状を更年期症状と勘違いして、我慢していた患者さんや、うつ病のような症状があらわれ、仕事をやめてしまった患者さんがいます。眼精疲労はこじらせるとやっかいですので、早めの治療をおすすめします」
眼精疲労の原因は大きく3つに分けられる。目の病気、環境(パソコンの使用頻度が高いなど)、精神的な要因(ストレスなど)だ。
最も多いのは目の病気で、「水晶体を支える毛様体筋の疲労によるもの」が多いという。
「近視や遠視、老眼などの屈折異常により、見えにくいものを無理に見ようと目が頻繁にピントを調節すると、毛様体筋がつねに緊張し、疲労が蓄積されて眼精疲労が起こります」(梶田医師)
■必ず見直したい度が合わないレンズ
度の合わない眼鏡やコンタクトレンズでも、同じことが起こる。治療は、なによりも適切な視力矯正をすることが優先だ。近くが見えにくくなる老眼やどの距離も見えにくくなるスマホ老眼では、累進屈折力レンズを使った眼鏡を使用するのがいいという。
累進屈折力レンズはレンズ面の位置によって屈折力(度数)が変化する。レンズの上部に遠くを見る「遠用部」、下部に手元を見る「近用部」があり、上下の間はゆるやかに度が変化するようになっている。視線を動かすことで「遠・中・近」のさまざまな距離を見ることができるわけだ。
「近くだけに焦点を合わせる老眼鏡は、かけたり外したりするので毛様体筋に負担がかかります。累進屈折力レンズはこうしたことがなく、目の疲れが大きく軽減されます」(同)