ほんだ33さんは、さらに学んでいます。「世の中にこんなことをする女性がいるんだ」という衝撃的発見です。

 そして「いったい、なにがまずかっただろう」「どうしたらよかっただろう」「どうして信じてしまったのだろう」という自分自身への問いかけです。これが、「高い授業料」を払って学んだ核心部分です。

 ほんだ33さんは、「もちろんその約束に不安はあったので何度も確認しました」と書かれています。つまり、完全にのぼせ上がって、判断力を失っていたわけではないのです。でも、どんなに親しい仲でも借用書を書いて欲しいと言わないで、「そのたびにそんなことはないと言われ、信じてしまった」のですよね。

「好きであることも伝え、その女性も感謝しているし返済が終わったら付き合うと言ってもらえた」という表現も重要だと思います。「好きであることも伝え、相手も私を愛している」ではなく「感謝している」という表現を彼女は使ったわけです。そのことをほんだ33さんは冷静に分かっていたのですよね。

「何度過去のLINEを見返しても騙していると思えなかった」と書かれていますが、つまり人は口よりも文章では簡単に嘘をつけるということも学んだんじゃないでしょうか。面と向かって嘘を言うのはなかなかエネルギーがいります。でも、LINEになら、なんでも書けるのです。

 何のためにこんなことを書いているのか? 僕は、「彼女という授業」を終えて、ほんだ33さんが何を学んだかを振り返って(フィードバックして)いるのです。

 それはね、ほんだ33さん。「2年間を無駄にしてしまい」と書かれていますが、僕は全然、そうは思ってないからです。まさに天国から地獄ですが、じつに学びの多かった2年だと思います。いえ、もちろん、ほんだ33さんがこの学びから目を背ければ、無駄になるでしょう。

 でも、「得たものと失ったもの」「気づけたことと気づけなかったこと」「目がくらんだこととじつは目に見えていたこと」をちゃんと分けることができたら、間違いなく次の人生へとつながると思います。

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