
「ジョーカー」でアカデミー賞主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスが狂気の次に選んだのは、「人生はビギナーズ」「20センチュリー・ウーマン」など、世界中にファンの多いマイク・ミルズ監督の自伝的な心温まる作品「カモンカモン」。
アメリカ中を回って子供たちにインタビューしているラジオジャーナリストのジョニー(ホアキン・フェニックス)は、ロサンゼルスに住む妹のヴィヴ(ギャビー・ホフマン)に電話をかける。母が1年前に逝って以来疎遠になっていた兄妹だが、ヴィヴはトラブルを抱えた別居中の夫の手助けをするためオークランドに行く予定で、ジョニーはその間、9歳になる甥のジェシー(ウディ・ノーマン)の面倒を見ることに。
ただ、仕事のスケジュールが入っているジョニーは、ニューヨークのアパートに甥を連れて戻ることを決める。それは彼にとって、子育ての厳しさを味わうと同時に、驚きに満ち溢れたかけがえのない体験となるのだった──。

本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)
■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★
甥っ子を預かることになった伯父さんがホアキンの役?なんだか似合わないと思って見ているうちに、モノクロームの映像の中に自然な温かみが生まれ、大人と子供の幸せなコンビが生まれていた。続きが見てみたいと思う。
■大場正明(映画評論家)
評価:★★★★
ミルズ監督は「普通」という基準に縛られることなく、人それぞれのありのままの姿を見つめ、受け入れる。だから登場する誰もが自然体でドラマに深みがある。美しいモノクロやより洗練された脚本など、もはや円熟の境地。
■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★★
不思議な世界。でもこれが人生。メッセージが作品の向こう側にある気がして、みんなの話を聞きながら自分の人生と重ね合わせてしまう。子どももしっかり考えてる。一言ずつを丁寧に聞き入って、人生が愛おしくなる。
■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★
志は高いし俳優陣も素晴らしいが入り込めない。ドキュメンタリータッチのようなのに台詞が多いうえに、ナレーションや本の引用が多用されていて説明過剰。話を甥と伯父にフォーカスして映像で想像させて感じたかった。
(構成/長沢明[+code])
※週刊朝日 2022年4月22日号