デビュー作『うさぎパン』の女子高生時代など、実際の話ではなくても、小説の舞台にこれまで経験した場面や場所を選ぶことも多い。

「『左京区七夕通東入ル』のシリーズは、自分自身が通っていた京都の大学を舞台にした話ですし、会社の出張で足を運んだチリのサンティアゴや上海を舞台にして書いた短編小説もあります」

 現在はその会社も辞め、専業の小説家になった。

「子どもの頃から本を読むことが何よりも好きでした。作家デビューして、今まで読んできた作家の本と一緒に自分の本が書店に並ぶのを見たときは、本当に感動しました。私にとっては、本のない人生は考えられません。水や食べ物と同様に絶対に必要です」

(金田千里)

週刊朝日  2022年4月29日号