恋に仕事に人生に。現代社会はストレスが多い(撮影/張溢文)
恋に仕事に人生に。現代社会はストレスが多い(撮影/張溢文)
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 ストレスフルな現代社会でも幸せに生きたい。その鍵を握るのが「自己肯定感」です。科学的に立証された方法を探ります。AERA 2022年4月25日号の記事から紹介。

【自己肯定感チェック表はこちら】

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 自己肯定感が低いから、小さな失敗を引きずる。仕事が順調でも不安になる。神奈川県に住む料理研究家の女性(34)はそんな性格を変えたいと思っているが、「自己肯定感が高い」と断言する人の中には、決して目指したくない人もいるという。

「私が独立する前に在籍していた小さな広告会社の40代の先輩女性です。仕事も生き方も自信満々。でも周囲から見ると、勘違いした人。いつも恋をしていて、若いスペックの高い男性と結婚できると信じています」

 恋はかなわなくても前向きで自信過剰な先輩の性格は、営業職で生かされ、成績は悪くない。

「メンタルが強いのが彼女なら、自分は一生、変われないし、変わりたくない。でもヘコみやすく回復が遅い自分も嫌」

 女性が主宰する料理教室は毎回、ほぼ満員。数年前に始めた料理写真のインスタグラムはフォロワーが2千人を超えた。ところが今年になって、一定期間更新をストップした。原因は愛犬の死。乗り越えなければと思うほど、よりつらくなった。

「まん延防止等重点措置が終わって、人恋しさもあり知人と食事をしたのですが、ペットロスを打ち明けたとき、私はつい泣いてしまって……」

 すると知人からは「前向きにならないと」「早く結婚するべきだ」などと言われた。

「ただ当時はとてもじゃないけど、ポジティブにはなれなくて。自分の精神力はダメだと、再確認しました」

■「自尊心」が大切

 女性はすぐには復活できなかったが、少しずつ仕事を再開した。ただこの先も、ささいなことで落ち込む性格が不安だという。

 チェックは、社会心理学者のローゼンバーグが考案した「自尊心」を測る指標だ。30以上であれば、「自分に価値を感じる気持ち」「自分の能力への満足感」が高いといえる。

 料理研究家の女性の結果は23。日本人の平均が25程度。21から29までの中間ゾーンといえる。20以下なら低めのゾーンだ。

 自己肯定感にはいろいろなかたちがあって、いくつかの異なる要素から成り立っている。求めている自己肯定感によって指標は違うのだ。

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