日光から帰宅すると小6の末娘が『いちのすけのまくら』を読んでいた。「面白い?」「面白い!」。ヨイショが上手い。「でもちょっと言わせて!」と娘。「なんで私のコトが書いてないの? お兄ちゃん達は沢山出てくるのに!」だって。「ネタにしてもらいたいのか?」「ウン! 私のことも面白く書いてよ!」。そうか、じゃこれからもひとつお願いします。こないだまで、ネタにされるの嫌がってたはずなのに、なにがあったんだ? 自分ちの子供の成長はよそ様よりもっと早い。
春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめたエッセー集の第1弾『いちのすけのまくら』(朝日文庫、850円)が絶賛発売中。ぜひ!
※週刊朝日 2022年5月6・13日合併号