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さらに今回、佐多さんたち風俗考証チームが力を入れているのが武装だ。義時は歩兵の甲冑(かっちゅう)からスタートし、その後、肩に防御用の「袖」がつき、源平の戦いのときは「大袖」や胸にも防具がついた。
「鎌倉武士は少しずつグレードを上げているので、その点に注目すると鎌倉幕府の確立の過程が見えてくると思います」
甲冑は当時は数が少なく、まとめてそろえることができなかったのではと考え、左右非対称で、色もそろっていない武装の武士も登場させた。
ドラマの中で行われる儀式や儀礼にも着目してほしいという。武家の儀式儀礼は鎌倉時代に始まった。
「儀式儀礼を守らせることで御家人を統率できますし、席次などの決まりごとがしっかりしているので、人心掌握にも有効です。頼朝はそういうしたたかな幕府運営をしたのですね」
服装や儀式儀礼に目を凝らすと、「鎌倉殿」がより深く楽しめるはずだ。(本誌・鮎川哲也)
※週刊朝日 2022年5月27日号
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