イラスト/ウノ・カマキリ
イラスト/ウノ・カマキリ

 もしかすると分裂する恐れもある。それ以前に、他の派閥が安倍派の政治家の引き抜きを図る可能性もある。

 衆院選は3年も先だ。この3年間はどの派閥も安心して派閥抗争に明け暮れることができるのではないか。岸田首相が派閥抗争をうまく抑え込めればよいが、もしも抑え込みに失敗すれば、岸田首相降ろしが始まるのではないか。

 それに、岸田首相はいくつもの超難問を抱えている。

 まずは経済危機だ。この30年間、それなりに経済成長をしてきた欧米の国々に対し、日本はまったく成長していない。2012年から始まった第2次安倍政権で、安倍首相は日銀の黒田東彦総裁と組んで、異次元の金融緩和と思い切った財政出動を敢行したが、経済成長はなかった。

 さらに、自民党の歴代首相は安全保障を主体的に考えるのは危険だとして、米国に委ねてきたが、米国が実質的に世界の警察であることを放棄して、日本は主体的な安全保障を構築しなければならなくなった。この危険極まりない仕事を、一体どのようにすればよいのか。いずれも、岸田内閣が対応しなければならないのである。

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

週刊朝日  2022年8月5日号

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