作家・室井佑月氏は、「AV出演被害防止・救済法案」にまつわる、一部のフェミニストの反応について、苦言を呈する。
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先週につづいて、「AV出演被害防止・救済法案」について。これに反対する一部のフェミニストたちがわからない。
まず、成人年齢の引き下げと共に、18・19歳の出演の強要があってはならないと考えたんだよね。で、新法は18・19歳が対象とされてはいないが、それを含む被害者が救済されるようになっている。
ところが彼女らは、性交について禁止とならないのはおかしいといいだした。そうしないのは、性交契約に国がお墨付きを与えることであると。性交契約を合法化するつもりかと。
でも、新法はそんなことはいってない。3条で、はっきりそれを否定している。
それから、「(新法で)業者が儲かる」「一生の傷を受けうることへの説明まで丁寧に盛り込まれているが、女性が拒絶できるとは思えない」ともいっていた。
新法で出演の取り消しができ、無かったことにできる。その際、出演料は返還することになるが、制作費等の賠償は免責されることになる。かなり業者に厳しい新法だ。だからこの先、出演の強要なんて怖くてできなくなるってことなんだけど。
そして、丁寧に説明しても拒絶できない女性という概念はどうなのだろう。AVに出る人がそうだといっているなら差別だし、それでなくても問題だ。
あたしもそうであるがフェミニストはもれなく、家父長制度に反対している。しかし、一部のフェミのこういった意見は、家父長制度に反対するどころか賛同することになるのではないか。女性は未熟だから契約はできないというのなら、家長という保証人を立てねば、自分で家も借りられないことになるし、ローンも組めないということになってしまう。フェミニズム運動とは、女性の解放運動ではなかったのか?
でも、こういった人たち、ラディカルといわれるフェミニストの間違いを指摘すると、途端に「アンチフェミニスト」「ミソジニスト」とレッテルを貼られ、寄ってたかってネットリンチという制裁を受ける。