※写真はイメージです (GettyImages)
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 もしかしたら若年性認知症かも……。50歳を超えた人なら一度はこんな不安を感じたことがあるのでは。記者(53)も最近、漢字の書き間違いが増え、物をよくなくすようになった。以前からのような気もするが、急に進行したような気もする。不安なので思い切って認知症検査を受けてみると──。

【表】認知症の疑いチェックリストはこちら

 記者の場合、違和感の始まりは漢字の書き間違いだった。とにかく間違える。急いだときはさらにひどく、違う漢字2文字が合わさった字を書いてしまうことも。

 年のせいとは思っていたが、昨年末、「絶対なくさないように」と預かっていた両親の介護保険証の収納場所を思い出せず、役所に再発行依頼をしたときに強く思った。

 認知症検査を受けたほうがいいのかもしれない。

 3年前から両親の本格的な介護が始まった。要介護度3と5の父母の在宅介護は想像以上にストレスがかかり、徐々に高血圧体質になった。普段、血圧は110/80程度で正常範囲だが、200を超えて救急搬送されたこともある。認知症の危険因子の一つが「高血圧」ということも知っている。

 かかりつけのクリニックに処方箋をもらいに行ったある日、思い切って医師に相談した。

「最近、漢字がうまく書けなくて、もの忘れも増えたのですが、これは認知症なのか不安です。この前、冷蔵庫にラップが入っていました」

 医師は、「今度、認知症専門医に一度診てもらいましょうか」と言い、後日、ADAS(エイダス)という認知機能検査を受けた。

 合計10枚のカードを2秒ずつ3回見た後に覚えているカードを声に出す「単語再生」、図形を模写する「構成行為」、今いる場所や時間などを確認する「見当識」、「単語再認」など合計10のテストを受けて、それぞれの評価点数の合計で認知機能を診断するものだ。

 睡眠不足もあってか集中力が続かず、カードは思ったよりも覚えられなかった。できないことに焦り、さらに覚えられない悪循環。しかしそれ以外のテストはある程度できたと思い、結果を聞きに診察室に入る。そこで専門医から言われた話にがくぜんとした。

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