水谷 僕自身は特に意識していないんですが、確かに他の方からは「よく動き回っていますね」と言われることは多いですね。
檀 水谷監督は、それぞれの俳優が台本を読み「こんな感じかな」と想像したものを飛び越えるような演出をされるので、それにみんなが驚いたり、刺激を受けたり。「水谷監督の頭の中はどうなっているのだろう?」と思うくらい、本当に面白かったです。ユーモアにあふれていて、人が想像しないような演出をされて、同時にクスッと笑える部分もあるんです。みんなでワクワクドキドキしながら、日々撮影に臨んでいました。
――作中には軽やかでかわいらしい、檀さんの演技の魅力が詰まったシーンが登場する。「音楽」をテーマに扱った作品らしく、チャイコフスキーの「白鳥の湖」がかかる印象的なシーンだ。
水谷 僕たちはあのシーンを“白鳥の湖事件”と呼んでいます(笑)。理子さんは、アマチュア交響楽団の存続問題だけでなく家業の問題などさまざまなことを背負い、いろいろな目に遭う。いろいろなことが起きるからこそ、たくさんの表情が必要だと思っていたのですが、れいさんは僕の想像をはるかに超え、さまざまな表情をみせてくれました。僕が思っていた以上のエンターテインメントに仕上がったのは、れいさんの豊かな「表情」があったからこそだと思っています。
(構成=古谷ゆう子)