
海外ETFは米ドルで取引するので、1ドル当たり片道25銭の為替手数料も取られる。為替手数料のキャンペーン中を狙ったり、ネット証券の系列銀行を経由して両替したりすれば為替手数料は抑えられるが、東証ETFより海外ETFのほうがコストがかさむのは確かだ。
桶井さんは2022年3月末現在で12本のETFを保有している。S&P500、ナスダック100の東証ETFを除くと分配金利回りが高めのものメインにチョイス。さすが「60歳で年間分配金240万円が目標」と公言するだけのことはある。
「東証ETFと海外ETFは分配金にかかる税金にも違いがあります。たとえば米国株だけが入った海外ETFの場合、米国の10%の税金を引かれたうえで日本の税金20.315%が取られる『二重課税』。この場合、税率を厳密に計算すると約28%になります」
海外で課税された分は、外国税額控除の確定申告をすれば取り戻せる。ただ、全額取り戻せないケースもあるという。
「2020年から、東証上場の日本籍ETFは、外国株式から得た分配金のうち外国所得税が自動で還付される『二重課税調整制度』が導入されました。そのため税率は個別株の配当と同じ20.315%だけです」
なぜ、投資信託ではなく手数料や税金面で劣るETFを買うのか?
「投資の出口を意識しているからです。分配金を再投資してくれる通常の投資信託は、資産の増え方という面でETFに勝つことはわかっています。
ただ、いざ老後になったとき、サクサクと投資信託を取り崩せるか? 特にそのとき相場が暴落していたら、迷いなく削っていけるかどうか自信がありません。ETFなら分配金を定期的に受け取れて、気分的にラクなのです」
さらに細かいことを聞いた。桶井さんのポートフォリオを見ると、東証ETFより海外ETFのほうが多い。なぜ海外ETFなのか?
「東証ETFは海外ETFに比べて銘柄数が少ないからです。海外ETFでしか買えない銘柄がたくさんあるのです。