「60歳のときは3%、65歳のときは3.5%、70歳になったら4%と、引き出し率を徐々に上げていく方法もあります。資産の残りが少なくなってきたときに引き出し率を上げれば、引き出す金額が減ることを食い止められます」

■定率と定額の両方やる

 老後を前半と後半の2つのステージに分けて考えるのもいい。たとえば65歳から80歳の前半戦は運用で増える利回りより少し高いくらいの率で引き出して、元本の目減りをできるだけ防ぐ。そして80歳から90代は残りの年数で資産額を割ることで金額を決めて、元本がなくなるまで定額で取り崩す。定率と定額のハイブリッド型だ。

「老後の健康度合いも人それぞれです。

 まず資産を運用資産と安全資産(預金)に分けて、運用資産から取り崩していきます。最後の10年から20年は判断力が鈍り、運用ができなくなっている可能性がある。

 そのときには安全資産の登場です。その時点から残り15年と考えるなら単純に15で割って、毎年定額で使うのもいいでしょう」

 取り崩しは資産運用と同じくらい、いや、もっと奥が深いのだ。

(編集・文/綾小路麗香、伊藤 忍)

※『AERA Money 2022夏号』から抜粋

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