すみません。本当にその通りすぎて、聞いていて気持ちがいい。
「老後の生活費=勤労収入+年金+資産の取り崩し」という等式を、どう成り立たせるかが大切、と。
■現役で形成、老後に活用
「現役のときは『資産形成』で山を登っていきます。その後、定年退職を迎えて仕事をやめたときが山の頂点です。
そこからの老後はある意味、山を下っていくこと。山を登るのが資産形成なら山を下るのは『資産活用』。どうやって取り崩せば、お金を最も有効に活用できるかがテーマになります」
投資で儲けるには安く買って高く売ればいい。そこに時間と数量の概念を入れると「安いときにたくさん買って、高いときは少しだけ買う」という発想になる。これが「ドルコスト平均法」という長期つみたて投資の考え方だ。
老後の資産活用では、その逆の考え方をする。ズバリ「いかに高いときにたくさん売って、安いときは少しだけ売るか」。つまり取り崩しもドルコスト平均法でいくのが基本ということだ。
「運用に関しては年率何%と利回りで考えているのに、引き出しのほうは何万円という金額で議論しているのも違和感がありますね。
『率』と『額』は同じ秤(はかり)に乗せられません。毎月の取り崩しも、できれば金額ではなく『率』で決めるのが基本だと思います」
つまり「何万円」という定額ではなく「何%」という定率で引き出すと、「高いときにたくさん、安いときは少し」という売り方に近づく。「資産形成は毎月定額つみたて」だが、「資産活用は毎月定率引き出し」というわけだ。
もちろん、運用収益を上回る速度で元本が減ってしまうと、定率で引き出せるお金の量は減っていく。シンプルな例で説明しよう。1月に100万円から5%引き出すと5万円。もし1月に1円も増えていなければ、2月には95万円の5%で4万7500円。3月に95万円が110万円になっていたら、その5%で5万5000円––––といったイメージ。