飛込競技とは、一瞬の華やかさはあるが、それを支えるのは毎日積み重ねる小さな努力と成功体験だ。翼ジャパンダイビングカップから、今回の世界選手権の高飛込予選までの日数は138日。玉井は誰よりも真面目に、誰よりも真剣に努力を積み重ねてきた。

 12歳だった玉井も、今年で15歳。身長も10cm以上伸び、体重も増えた。身体つきもたくましくなり、東京五輪よりもさらにパワーがついたことで回転力は上がっている。加えて高校進学を機に「選手としての成長だけではなく、人間的にももっと成長して大人になれるようにしたい」と話す。

 元々高い水準にあったテクニックに加え、フィジカルの強さ、そしてメンタルの安定感も身につけ始め、まさに心技体が揃いつつある玉井。今回の世界選手権で、飛込強豪国・中国の牙城を崩せるか。積み重ねた努力を信じて、ミスを恐れない思い切った演技を期待したい。その思い切りの強さこそが、身につけたテクニックとフィジカルを生かす武器になるのだから。(文・田坂友暁)

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