五木寛之(いつき・ひろゆき)/ 1932年、福岡県生まれ。生後まもなく朝鮮半島にわたり、47年引き揚げ。57年に早稲田大学ロシア文学科を中退。その後、編集者、ルポライターを経て、66年、『さらばモスクワ愚連隊』で小説家デビュー。同作で小説現代新人賞を受賞。『蒼ざめた馬を見よ』(67年)で第56回直木賞、『青春の門』(76年)で吉川英治文学賞を受賞。そのほか代表作に、『戒厳令の夜』『風の王国』『親鸞』『大河の一滴』『ステッセルのピアノ』など。(撮影:写真映像部・松永卓也 編集協力:一木俊雄)
五木寛之(いつき・ひろゆき)/ 1932年、福岡県生まれ。生後まもなく朝鮮半島にわたり、47年引き揚げ。57年に早稲田大学ロシア文学科を中退。その後、編集者、ルポライターを経て、66年、『さらばモスクワ愚連隊』で小説家デビュー。同作で小説現代新人賞を受賞。『蒼ざめた馬を見よ』(67年)で第56回直木賞、『青春の門』(76年)で吉川英治文学賞を受賞。そのほか代表作に、『戒厳令の夜』『風の王国』『親鸞』『大河の一滴』『ステッセルのピアノ』など。(撮影:写真映像部・松永卓也 編集協力:一木俊雄)

林:先生は、いまのような時代が来るとは思わなかったですか。

五木:いや、僕は思ってました。戦争は人間の愛憎とか運命というものがある以上なくならないだろうと思ってます。文明社会では、例えば裁判所がいろんな人の争いを法的に解決してますが、争いがあるというのが人間の世界で、善と悪という二つの渦巻きの中で平和を求めながら、人類は今後もずっと生きていくんだろうなと思います。

林:ただ先生は、例えば(瀬戸内)寂聴先生みたいに表立って運動をなさらないし、声明文を出したりすることもなさらないですよね。群れて団体で声高に何かするのが嫌いだとおっしゃって。

五木:嫌いじゃなくて、イデオロギー。レーニンの言葉で「それぞれの砲座から共通の敵を撃て」というのがある。それぞれの仕事で自分の志を述べていくことが大事だと思ってますから。

林:そうなんですね。

>>【前編】作家・五木寛之『捨てない生きかた』 モノで過去の記憶がよみがえる

>>【後編】作家・五木寛之の石原慎太郎さんとの交流秘話 盛り上がった話“裏待ち詩人”とは?

(構成/本誌・唐澤俊介 編集協力/一木俊雄)

週刊朝日  2022年7月1日号より抜粋

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