帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「がんになったら」。

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【年齢】ポイント

(1)歳により、がんに対する向きあい方は変わってくる

(2)80歳以上、70歳から79歳、69歳以下の3通り

(3)70歳から79歳という年代は一概に決められない

「がんになったらどうすればいいか」というのは私が日々、患者さんと一緒になって取り組んでいる課題です。そのときに私が配慮するのは、患者さんの年齢です。歳によって、やはり、がんに対する向きあい方は変わってくると思うのです。

 大きくは次の三つに分かれると思います。80歳以上、70歳から79歳、69歳以下です。

 80歳以上になったら、がんと闘うという気持ちは、もういらないのではないでしょうか。がんと共に寿命をまっとうするというのが、自然な気がします。人間はかならず死ぬ存在です。いまがそのときかもしれないと思えれば、じたばたする必要はありません。

 だからといって、何もしないで、そのまま死を迎えるわけではありません。老いや死を認めながら、いのちのエネルギーを高めていく。老いや死に対して楽しく抵抗していくのが、ナイス・エイジングのやり方です。

 がんの治療法は世の中にごまんとあります。手術、化学療法、放射線という西洋医学の3大療法プラス免疫療法。漢方薬、鍼灸、気功、食養生、スピリチュアル・ヒーリング、ホメオパシー、サプリメントなどの代替療法。瞑想、リラクゼーション、イメージ療法などの心理療法。このほか枚挙にいとまがありません。

 このなかから、できるだけ辛(つら)くない方法を選んで、心を込めてやっていったらどうでしょう。治療法を選ぶに当たっては、自分の直観を信じることです。「これがいい」と自分で信じることができれば、それが最良の治療法なのです。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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