
劇団ひとりさんやバナナマンさんなど、多くの売れっ子芸人とともに仕事をするテレビプロデューサー・佐久間宣行さん。作家・林真理子さんとの対談では、その才能を見抜いた秘訣を語ってくれました。
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林:佐久間さんはテレビマンとしてもう何年ですか。
佐久間:23年です。
林:そのご経験をこの本(『佐久間宣行のずるい仕事術』)にまとめたんですね。私、ビジネス書ってあまり好きじゃないし、読んで役に立ったことが一度もないんだけど、この本は具体的でおもしろかったです。社会人2年生の娘に渡したいと思いましたよ。
佐久間:ありがとうございます。けっこう社会人の若い子から「読んでよかった」って反応をいただきますね。
林:コロナ禍の中で就職した子や、これから就職を考えてる子にぴったりの本ですよね。
佐久間:大学生活の後半、まともに人とコミュニケーションがとれなくて就職していった子が多いから、それで苦しんでる人がたくさんいますよね。
林:「コミュニケーションは『最短距離』より『平らな道』を行くことだ」って、これ、名言だと思った、私。
佐久間:いやー、うれしいなぁ。
林:「楽しそうに働いている姿をアピールする」というのも、いい言葉だなと思う。この人といると、いいことがありそうだと思わせるって、大切なことですよね。
佐久間:テレビの仕事ってチーム戦が多いので、その企画を背負った人がおもしろそうにやってないと、「なんでこんな大変な思いをしなきゃいけねンだよ」って空気が蔓延(まんえん)していくんで、そこには気を配るようにしてますね。チームプレーの場合、「この企画をいちばんおもしろがってるのは自分だ」というのがないと、みんな頑張れないと思います。
林:タレントさんも巻き込んで。
佐久間:そうですね。だからタレントさんへの企画の説明も、自分で行けるときは極力自分で行くようにしてます。だからびっくりされます。「えっ、佐久間さんが来るんですか?」みたいな。