写真家・服部考規さんの作品展「Bridge」が1月6日から東京・目白の竹内敏信記念館・TAギャラリーで開催される。服部さんに聞いた。
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昨年、東京オリンピックでカヌー競技が行われた海の森水上競技場(東京都江東区)。そのすぐ南側に横たわる巨大な橋。それが「東京ゲートブリッジ」だ。
服部さんはこの橋の力強い姿に引きつけられ、10年ほど前から撮影を続けてきた。
「鉄道の鉄橋みたいな、単純な鉄骨の橋って、写真写りはいまひとつなんですが、東京ゲートブリッジの姿はとても魅力的。いつも、写真映えするなあ、と思いながら撮っています。それに、すごくでかい。迫力があります」
全長2618メートル(主橋梁部は760メートル)。一方、高さは羽田空港を離着陸する航空機を考慮して87・8メートルに抑えられた。橋の下はコンテナを積載した貨物船が通るため、海面から54・6メートルの空間が設けられている。
このような制約によって世界的にも珍しい形となった東京ゲートブリッジは、2匹の恐竜が向き合っているような姿から「恐竜橋」の愛称でも知られる。
■ほかの人が東京スカイツリーなら
服部さんが橋をテーマに作品を写すようになったのは、日本写真芸術専門学校時代から。
「2年生のときに竹内敏信先生のゼミ生になって、横浜ベイブリッジを写した写真を見せたら、『服部はこれで行きなさい』と、言われたんです。それで、卒業制作を撮るために1年間、横浜ベイブリッジに通った」
その後、東京レインボーブリッジを撮影。3番目に取り組んだのが東京ゲートブリッジだった。
「建設していたころから東京ゲートブリッジを撮り始めたんですが、当時、東京スカイツリーも建設中だった。こちらにも興味があったんですけれど、みなさんがスカイツリーを撮影するのを見て、それならぼくは東京ゲートブリッジを、という気持ちもありましたね」
東京ゲートブリッジの建設が始まったのは2002年。「トラス」と呼ばれる鉄骨組みが巨大なクレーンによって橋脚の上に設置され、恐竜のような姿を見せるようになったのは10年5月。服部さんが撮影を始めたのはこのころで、翌年2月には橋の中央部がつながり、ほぼ現在の姿となった(道路の開通は12年2月)。