■橋からそびえる光の柱を発見
服部さんが、もっとも多く撮影に訪れたのは橋の東側のたもとにある若洲海浜公園と江東区立若洲公園(実質的にこの2つの公園はつながっている)。
「この公園は南北に約2キロと長いので、さまざまな角度から橋を撮れます。橋の真下からまったく鉄骨が見えない姿を撮れますし、南に歩いていくと、富士山とからめて写せる場所もあって、なかなか面白い撮影ポイントです」
公園から写した作品で、やはり目を引くのが、橋の真下や、すぐ近くからのアングル。
「真下からワイドレンズを上に向けて撮ると、道路が空を背景に逆三角形のシルエットに写って面白い。橋脚の間から橋を撮ったカットは特に印象が強くて、SNSにアップすると『こんな場所があったんですか!』と、みなさん驚かれます」
作品には、漆黒の橋脚の間からライトアップされた橋の鉄骨が見え、その上空には羽田空港に着陸する飛行機の光跡が写っている。橋脚の根元に設置された船の航行の目印となるオレンジ色のライトも印象的だ。
「橋の全容は見えませんが、夜撮ると、不思議な感じに写る。反射した周囲の光が道路の裏側に少しまわり込むと、もっと面白くなります」
さらに服部さんは夜の雨や霧によって、橋のライトアップが光の柱のように見えること発見した。
「ある日、雨が降っていて、撮影しづらいな、と思いながら、車の外に出たら『あっ』と。橋の中央に光の柱が立っていた」
天高くそびえる光の柱。それに向かって伸びる黒い道路。その奥には橋ではなく、宇宙基地があるようにも見え、想像が膨らむ。
晴れた日の夕方、橋の北側から写した作品には夕日に照らされた鉄骨が輝く。南側から写すと、鉄骨がシルエットとなり、あかね空に浮かび上がる。その右には、富士山が小さく見える。
「この場所からは西側に広がる景色がすごくいい感じで見えるんです。ただ、富士山を橋とからめて写そうとすると、あまり焦点距離の長いレンズは使えないので、このくらいの大きさになります」と、服部さんは説明する。