秋の夜長、ぐっすり眠れていますか? 健康な体づくりによい睡眠は欠かせません。不眠の人は、十分に睡眠をとっている人に比べ高血圧の発症リスクは約2倍、糖尿病は約2~3倍という研究データも。睡眠のメカニズムや、自分に適した睡眠時間の見つけ方を、東京足立病院院長、日本大学医学部精神医学系客員教授の内山真先生に聞きました。Q&Aでお届けします。(自分で自分の健康を守るための健康情報を発信する「セルフドクターWeb」より転載)
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Q:睡眠中の体内では何が起こっているの?
人は、浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠を交互に繰り返しながら眠っています。睡眠中には次のような健康の維持・増進にかかわる重要なホルモンが分泌されています。
- 成長ホルモン……主に子どもの成長や体の修復にかかわる。眠り始めの深いノンレム睡眠時に活発につくられる。飢餓が状態にある時に最も分泌が活発になるため、夜遅い飲食は避けたほうがよい。
- メラトニン…… 体内時計を正常に保つ。日中は分泌が抑制され、暗くなると活発になる。
- コルチゾール……ストレスに負けない状態をつくる。明け方に分泌が活発になり、起床する前後に最大となる。
この他にも、睡眠中は免疫にかかわるサイトカインなど、健康な体づくりに必要な様々な物質がつくり出されています。
Q:睡眠はどのようにコントロールされているの?
人には1日周期で体のリズムを刻む「体内時計」のシステムが備わっています。体内時計は、細胞内にある「時計遺伝子」が約24時間周期で時計機能を担うタンパク質をつくり出すことで、リズムが刻まれています。通常は、24・2時間くらいの周期ですが、これより短いと朝型に、長いと夜型になると考えられています。
24時間からずれた体内時計は、毎日リセットさせる必要があり、その働きを担っているのが光です。光の情報は体内時計に直接伝わり、太陽に匹敵する強い光を浴びた時刻により体内時計のリズムが変化。早朝に強い光を浴びると、夜眠くなるのが早まります。逆に夜に強力な光を浴びると、体内時計が日中と誤解して針を昼間に戻し、眠くなるのが遅くなります。このことから、毎日、同じ時刻に朝日を浴びて体内時計をリセットさせることが大切なのです。
午後の眠気も、体内時計が関係しています。人は起床後7時間で眠くなるようになっていて、例えば朝6時に起きた場合は午後1時頃眠くなります。これは動物が昼寝をするのと同じで、気温が高い時間に動き回ってエネルギーが消耗するのを防ぐためと考えられています。午後に眠くなったら短い昼寝をするとよいでしょう。