内山真医師
内山真医師

Q:睡眠不足は生活習慣病にも影響するの?

 近年、睡眠時間を半分に制限すると高血圧や糖尿病、メタボリックシンドロームなどにかかる危険性が高まることが分かってきました。例えば不眠の人は、十分に睡眠をとっている人に比べ高血圧の発症リスクは約2倍、糖尿病は約2~3倍という研究データもあります。睡眠時間が8時間以上と長い人も、そのリスクは高まるそうです。逆に睡眠時間が7時間前後の人は、死亡率においても、極端に短い人や長い人に比べて低いという調査結果も出ています。

 なぜなら、本来の適切な睡眠時間よりも少なかったり、必要以上に睡眠をとったりすることが、食事や運動などの生活習慣の乱れや、食欲に関係するホルモンに悪影響を及ぼすからです。生活習慣病のリスクを低下させるためにも、睡眠は適切にとることが大切です。

 また、睡眠不足が続くと太りやすくなることが、様々な研究で明らかになっています。睡眠が足りないと、食欲を増強させるホルモンであるグレリンの分泌が増えたり、満腹を感じさせるホルモンであるレプチンの分泌が低下したりすることで、過食傾向になることが原因とされます。

Q:適切な睡眠時間はどれくらい?

 休日に昼頃まで寝るといった、いわゆる「寝だめ」をしておくことはできません。そのため毎日適度に睡眠をとることが大切です。適切な睡眠時間には個人差がありますが、次の2つを指標にしましょう。

  • 日中に強い眠気に悩まされていない。
  • もう少し眠っていたいと思う程度で起きる。

 成人の場合、個人差はあるものの、一般的に睡眠時間は6~7時間くらいがよいといわれています。たくさん眠ろうと長く床に就いていても、生理的な睡眠時間を大きく超えて長く眠ることはできません。かえって睡眠自体が浅くなり、途中で目覚める回数が増える原因にもなります。また、眠ろうと意識し過ぎたり、眠りに不安や恐れがあったりすると頭が冴え、寝つきの悪さや浅い睡眠につながります。眠れない場合はむしろ積極的に遅寝、早起きをして、翌日の眠気を誘いましょう。

Q:自分に適した睡眠時間を見つけるには?

 寝床に入って目が覚めている時間を除いた正味の睡眠時間は、加齢と共に減少します。年代別の睡眠時間を調査した研究結果では、10代前半までは約8時間、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間となっていますが、必要な睡眠時間は、日中の活動量などによっても異なります。自分にとって適正な睡眠時間を見つけるには、まず同じ睡眠時間を1週間キープすることから始めます。次のような方法で、適正な睡眠時間を見つけましょう。

 例えば睡眠時間を毎日6時間に設定します。週末まで元気に過ごせれば、適正な睡眠時間といえます。「日中にひどい眠気に襲われる」「週末になると昼間眠くてつらい」といった場合には、睡眠時間が十分とはいえません。「休日は平日よりも2時間以上多く眠ってしまう」場合は、慢性的な睡眠不足の可能性も。翌週以降、睡眠時間を1時間ずつ延ばしてみましょう。

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