しげさだ・ちか/1982年、北九州市出身。林テレンプ所属。中2のときに進行性の難病HTLV―1関連脊髄症と診断され、歩行が難しくなる。19歳のときに車いすテニスを始め、国内ランキング6位にもなったが30歳で引退。2015年にアーチェリーをはじめ、18年アジアパラ大会ミックス戦で銀メダル。19年のパラ世界選手権で東京パラリンピックの出場権を獲得。同年のアジア選手権では個人戦金メダル。リカーブ女子の世界ランキング5位(写真/江藤大作)
しげさだ・ちか/1982年、北九州市出身。林テレンプ所属。中2のときに進行性の難病HTLV―1関連脊髄症と診断され、歩行が難しくなる。19歳のときに車いすテニスを始め、国内ランキング6位にもなったが30歳で引退。2015年にアーチェリーをはじめ、18年アジアパラ大会ミックス戦で銀メダル。19年のパラ世界選手権で東京パラリンピックの出場権を獲得。同年のアジア選手権では個人戦金メダル。リカーブ女子の世界ランキング5位(写真/江藤大作)
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 東京パラリンピックは9月4日、アーチェリーの混合リカーブがあり、重定知佳(38)が上山友裕(34)と組んで出場する。AERA2021年2月1日号のインタビューを紹介する(肩書、年齢は当時)。

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 北九州市の城山緑地アーチェリー場。左端のレーンが重定知佳の指定席だ。この場所で週6日、1日6~8時間、一人で黙々と弓に矢をつがえ、弦を引き絞り、矢を解き放つ。多いときは350本。その高い集中力が重定の持ち味だ。

「地味な作業の繰り返しです。多く射たないと感覚が鈍るから」

 病気の影響で胸から下の体幹が弱いため、体の感覚を研ぎ澄ませ、弓と矢とわずかに残る体幹で絶妙なバランスを取る。手元の1ミリのずれが70メートル先で約10センチものずれになると言われるが、軽々と的の中央を射抜いていく。

 趣味としてアーチェリーを始めた1年後、2016年全国障害者スポーツ大会で女子リカーブ30メートルを大会新記録で制した。リオ・パラリンピックで7位入賞を果たしたばかりの上山友裕(現・男子リカーブ世界ランク2位)から「来年の世界選手権も狙える」と激励され、上を目指すことに。19年春からは末武寛基コーチに教えを請い、苦手としていた1対1のマッチ戦でも力を発揮。国際大会でメダルを量産している。

 特に上山との「ウエシゲ」ペアで挑むミックス戦は、20年2月の世界ランキングトーナメントで世界の頂点に立つなど、「最もメダルに近いペア」と評される。

「私が外してもカバーしてくれるし、上山くんの調子が悪くても、イライラすることなく、逆に『私に任せて』と思える。歯車が合うんです。個人戦とミックス戦で2人合わせて3個金を狙っています」

(編集部・深澤友紀)

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■アーチェリー

 的を狙って矢を放ち、得点を競う。一連の所作は優美だが、心身のわずかなぶれが勝敗を分ける難しい競技。五輪と同じ70m先の的を狙う「リカーブオープン」と、滑車のついた弓を使用して50m先の的を狙う「コンパウンドオープン」、そして四肢に麻痺などがあり、体幹が利かない選手が出場する「W1」(的までの距離は50m)の3種目がある。

※AERA2021年2月1日号に掲載